トラネキサム酸の特徴と注意点
トラネキサム酸は、人工合成されたアミノ酸の一種で、色素沈着抑制効果をもつ成分です。
主に、肝斑に効果を発揮する改善薬として認められている成分で
化粧水などの美白有効成分として、美白ケアとしても注目されています。
もともとは抗炎症薬や止血剤として医療の現場で使われてきた薬です。
じんましんの治療として患者さんへ処方したときに、肝斑の改善にも効果があることが発見され、2007年に一般用医薬品として新たな効能が認められました。
血液が固まるのを防ぐ「プラスミン」という物質があります。
トラネキサム酸はこの働きを抑えます。これを「抗プラスミン作用」といい、止血剤に利用されています。
このプラスミンは炎症反応やアレルギーにも関わっているため、トラネキサム酸がその働きを弱めることで、炎症反応やアレルギーをおさえることができます。
このような作用があるため、湿疹やじん麻疹などの症状がある場合にトラネキサム酸は、処方されています。
また、メラニン色素が生成される前にメラノサイトの活性化を予防する働きがあるので、皮膚科ではシミの治療にも応用されています。
肝斑は女性ホルモンのバランスの乱れが一つの要因といわれていますが、トラネキサム酸は女性ホルモンに直接影響するのではなく、メラニンをつくり出すメラノサイトに働きかけ、色素沈着抑制効果を発揮して肝斑を改善します。
色素細胞であるメラノサイトの活性化を促すメラニン色素生成に関わる「プラスミン」「プロスタグランジン」の働きを抑制するため、老人性色素班(日光黒子、一般的なシミ)の原因ももちろん防ぐことができます
肝斑と老人性色素斑は同時発生しているケースが多いのですが、トラネキサム酸は両方に効果があるので安心して使用できます。
*レーザー治療は肝斑を悪化させてしまう場合がある。
トラネキサム酸の注意点
副作用はまれなので、安心して使用できる成分です。
安全性が高く副作用は殆どない薬ですが、生体内における
線溶(体内で生じた血栓を溶解する生体反応)を抑制する作用があるため、
脳血栓や心筋梗塞、血栓性静脈炎などの疾患をもつ人は注意が必要です。
トラネキサム酸は止血効果があるので、摂取することで、血液が固まりやすくなる可能性があります。化粧品などで肌から取り入れた場合は、血液に入っていく量も少ないので、血液が固まりやすくなるリスクは低くなります。
トラネキサム酸は内服と化粧品など外からケアする場合と2通りあります。
内服の場合、4〜5週間がめどです。
長期間服用しても女性ホルモンのバランスを乱れに悪影響ががないという点から、肝斑の治療薬として使用されることが多い理由です。
ただし、先ほど説明したようにトラネキサム酸は止血効果があるので、摂取することで、血液が固まりやすくなる可能性があります。
化粧品などで肌から取り入れた場合は、血液に入っていく量も少ないので、血液が固まりやすくなるというリスクは少なくなります。
錠剤などで服薬する場合は、医師や薬剤師に必ず相談する必要があります。
心配な方は、リスクの点から考慮すると、化粧品で取り入れたほうがより安全性は高いといえるでしょう。